

言語聴覚士の仕事は、大きく分けて2つの分野から成り立っています。
一つは「食べること、飲み込むこと」の治療を専門的に行うことです。食べることは、単なる栄養補給だけでなく、生きる楽しみの一つです。脳の障害により、口から食べることが困難になった人に対して、適切に評価・診断し、原因を見つけ出してアプローチをします。これは新たな分野であり、今後ますます医療の現場では期待されることでしょう。
もう一つは、病気や事故、発達障害、高次脳機能障害などでコミュニケーションが困難になった人に対して、意思の伝達手段を早期に確立することです。コミュニケーションが取れなくなると、自分の思いが相手に伝えられず、精神的苦痛となり、生きる意欲が低下するとともに食欲も低下することになり得ます。そこで言語聴覚士は、ジェスチャーを交えて思いを伝える練習や情景画カードを見せてその状況を答える練習などを繰り返し実施します。病気の改善を援助するなかで、技術や知識は勿論、心理的側面からの支援も重要となります。

STとして初めて医療現場に立った時の気持ちは、不安でした。私が勤務した当時、茨城県内でSTはまだ100名以下でした。当然、仕事について相談できる相手もいなければ、STの仕事を理解してくれる人はほとんどいませんでした。
しかし、それから10数年徐々に啓発活動の効果もあり皆さんにSTの仕事も認知し始め、いまでは200名近いSTの先生が県内に勤務しています。
思い起こせば当時は東京の研修会に参加したり、多くの学会会員になったり、参考テキストを購入したりと無我夢中で勉強をしていました。でも、勉強しても難解な問題は山積みで特に難しいのは患者様との会話でした。一言で会話といっても様々です。病気になって気持ちが落ち込んでいる方、自分の気持ちを上手に表現できない方、病気によって、気持ちとは異なる表現をしてしまう方、もちろん質問していい内容など境界線のような事も考えなくてはなりません。専門的な知識もとても重要ですが、コミュニケーションの支援・援助の専門家としては知識だけでは足りないのです。
STの仕事のやりがいは「患者様から頂くことばや気持ち」がわかった瞬間です。専門家としての達成感はもちろんのこと、人対人としてお互いに共感できたと実感できる瞬間を感じることができる仕事です。

言語聴覚療法学科の特色は、講義型式の授業が非常に少なく、問題解決型の授業を多く取り入れていることです。問題解決型の授業とは、数名ごとのグループに分かれた学生が、ひとつの事例について研究を進める実践に即した学習方法。実際に言語聴覚士が行う仕事のように、解剖学、生理学、運動学など、さまざまな角度から障害を考慮し、リハビリテーションの計画を立案します。現場で行われているプロセスを理解することで、即戦力を高める授業です。
また、入学直後に行われる「臨床実習Ⅰ」も特色のひとつ。通常は基礎的な知識を身に付けてから行う見学・体験実習を早い時期に行い、言語聴覚士としてのビジョンを構築します。
そして、3年間を通して行われるのが、優れた人間性の育成です。言語聴覚士として最も大切なことは、患者様との信頼関係を築くこと。教養とマナーを磨く授業で、高いコミュニケーション力を養います。

| 1年次 | 2年次 | 3年次 |
|---|---|---|
| 文学 倫理学 社会学 心理学 情報処理 公衆衛生学 英語Ⅰ/Ⅱ 医学総論 解剖学 臨床生理学 病理学 内科学 精神科学 リハビリテーション医学 耳鼻咽喉科学 形成外科学 臨床歯科医学(口腔外科学) 音声医学(呼吸・発声・発語の機能) 臨床心理学 生涯発達心理学 学習心理学 認知心理学 心理測定学 音声学 言語発達学 社会福祉学 リハビリテーション概論 言語聴覚障害学概論 言語聴覚障害学総論Ⅰ/Ⅱ 発声発語障害学Ⅰ 嚥下障害学Ⅰ 聴覚障害学Ⅰ 臨床実習Ⅰ 社会奉仕・マナー演習 |
生物学 小児科学 臨床神経学 言語医学(神経系の構造・機能・病態) 聴覚医学(聴覚系の構造・機能) 言語学概論 心理言語学 音響学 聴覚心理学 言語聴覚障害学総論Ⅲ 失語・高次脳機能障害学Ⅰ/Ⅱ 言語発達障害学Ⅰ/Ⅱ 発声発語障害学Ⅱ/Ⅲ 嚥下障害学Ⅱ 聴覚障害学Ⅱ/Ⅲ 臨床実習Ⅱ 解剖学実習 一般臨床医学・言語障害学演習 |
統計学 保健体育 失語・高次脳機能障害学Ⅲ 言語発達障害学Ⅲ 発声発語障害学Ⅳ 聴覚障害学Ⅳ 臨床実習Ⅲ 社会奉仕・マナー演習 成人言語障害学 高次脳機能障害学演習 言語聴覚障両方セミナー 卒業研究 |

1998年に国家試験となったばかりの言語聴覚士。その有資格者は全国的にも少なく、求人件数が非常に多い仕事です。また超高齢社会の到来に伴い、社会的なニーズも高まっています。一般の病院やリハビリテーションセンターはもちろん、在宅介護の普及により関連施設も増加。活躍のフィールドはますます広がります。

卒業後のフィールド |
|---|
| 一般病院・リハビリテーションセンター・各種高齢者施設・身体障害者施設・知的障害者施設・行政機関・教育機関・機器開発メーカー・在宅関連施設 など |

学校生活においては、インターネット環境を完備していますので、授業前後に、必要な情報の検索をしたり、連絡事項、授業資料を校内メールで受信することができます。
学習においては、実践的な授業を行うため、校内の訓練室にて実際の治療を見学。さらに、同一敷地内にある北水会記念病院の回復期リハビリテーション病棟や介護老人福祉施設等において、見学や実習、ボランティア活動を積極的に行うことができます。校内にいながらも臨床を身近に感じることのできる最適な環境となっています。
その他にも、集中講義や模擬試験を行い、最終課題目標である国家試験合格を目指します。
卒業後も、学校での特別講演の聴講、学会発表等のアドバイスを行い、いつでも学習のフォローができる体制を作ります。